vol.6 YSP久留米の仲間たちと

憧れの地をバイクで駆ける時 心地良い風が吹き抜けた


雄大な阿蘇の山並みを縫うように走る、
爽快なワインディングロード。
中学生の時から夢見ていたステージを、
ついにXJR1300で走る時がやって来ました!
 中学生の時、修学旅行で訪れた阿蘇。「これはいつかバイクで走らなくては!」と胸を熱くしたのは、25年も前のこと。うーん、そんなになるのか。月日が経つのは早いなあ!
 昨年、阿蘇を走る機会がありましたが、実際に走れたのは少しだけ。今回はYSP久留米の皆さんがよく通うという、とっておきのワインディングロードに案内してもらい、阿蘇ならではの景色と「おいしい峠道」を満喫することに。25年越しの夢がかなう時が、ついにやって来たんです!
 しかも読者の皆さん、このコーナーとしては非常に珍しく、終日快晴だったんですよ! ようやく晴れ男パワーをフルスロットルにできたかな!?

 今回は、ツーリング前夜にちょっとした食事会を催していただき、ツーリングに参加できない方たちと交流を深める機会がありました。
 これがどうも、僕・ナンバと会うというよりも、酒宴がお目当てという雰囲気が濃厚で…。というのは半分冗談で(ということは半分本気!?)、まるで水のように焼酎を飲み干す九州男児(および女児)の豪快さに、お酒にからきし弱い僕は、ただただ圧倒されるばかりなのでした。
 ここは大酒飲みの皆さんを代表して、YSP久留米の深谷維大マネージャーに話を聞いてみねば。


難波 いやあ皆さん豪快な飲みっぷりですねぇ! ついて行けません。

深谷 そうですか? 今日は難波さんの手前、皆さん控えめですよ。
難波 こ、これで!?
深谷 もう何かっていうと「飲み」。ツーリングに出かけても、帰ってきてからの「飲み」の方が楽しみなんじゃない?(激しく首を縦に振る一同)
難波 まぁ、お酒はともかくとして、こうやって仲間がいるとバイクライフも楽しめますよね。うんうん、間違いない。みんなの狙いはお酒だけじゃないハズだ。そう信じたい。
深谷 その通りです! あくまでもお楽しみの1つ、ですからね。
難波 なんだかニヤッとしてるように見えるんですが?

深谷 いえいえ、ウチではバイクで来ているお客さんが飲んだ時は、ちゃんとバイクをショップで預かってますしね。あくまでも大人の楽しみとして…、あれ、難波さん、さっきから全然進んでないじゃないですか!? ぐいっといってください、ぐいっと。
難波 うひーっ!

 




 翌朝は、深谷マネージャーと6名の仲間たちが集まりました。YSP久留米さんは、XJRを大得意とするショップ。今回の参加者の皆さんも、TRX850に乗る稗田隼人さん以外は、なんと全員がXJR。しかも全車とも年季の入った…、おっと失礼! 気合いの入った1200です。稗田さんのTRXも初期型とのこと。自分のバイクを大切にする皆さんの姿勢に、僕もうれしくなりました。
 さて、朝のひんやりとした空気の中ショップを出発し、意外と渋滞する平日の久留米市内を抜け、高速道路で一路阿蘇へ向かいます。YSP久留米の仲間たちの走り慣れた様子に、僕も安心してXJR1300を楽しむことができました。
 今回は個性たっぷりのXJR揃いということで、ご自慢の「マイXJR」に乗せていただくことにしました。詳細は「今日のキモ」を見ていただくとして、気になったのはタイヤの空気圧です。特に若手のホープ(!?)、寺松耕平さんのXJRを試乗した時、空気圧不足を感じました。


難波 どうもしっくり来ないな〜。フロントがすごく切れ込むんですよ。
寺松 はぁ…。
難波 あ、空気圧ちゃんと見てる?
寺松 え、えーと、一応。2.3kgで合わせてあると思うんですけど…。
難波 ああ、そのせいだ。特にフロントタイヤは、空気圧に敏感に反応するんです。空気圧が低いと、旋回初期の変形量が大きくなって、切れ込みを感じるんです。帰ったら、さっそく指定空気圧にしましょう!
寺松 サーキットを走る時は低めにするんで、ついそのクセで。
難波 僕はね、サーキットを走る時も指定空気圧がベストだと思ってるんですよ。「走っているうちにタイヤが温まって空気圧が上がるから、その分あらかじめ下げておく」って、よく言いますよね? でも、その温まるまでの数周が楽しめない(笑)。走行会などは、何十周もできるわけじゃないから、タイヤが温まる前に、しっくりこないまま走行終了〜。それじゃつまんないでしょ?
 特に最近のラジアルタイヤは、指定空気圧が基本。もしそれで違和感があるなら、多少上下させてみる。そこは好みでね。

 
YSP久留米はオートポリスでのサーキット走行会に積極的に参加。ツーリングしながらのトークも、サーキットランに関する質問が目立ちました。05年は、ぜひYZFサーキットランにも参加してくださいね!

 すでに自分のライディングスタイルを確立なさっていて、走りに風格さえ漂わせている稗田さん、藤吉和男さん、池田隆弘さんらベテラン勢。一方、寺松さんをはじめ若手3人組は、走りにも貪欲な様子です。20歳の奈良田憲司さんは、大観峰で昼食のラーメンを食べながら、サーキットでの走りについて熱〜い質問をぶつけてきました。

奈良田 あのう、初心者がサーキットでタイムを詰めるには、何に気を付けたらいいんでしょうか?
難波 おおっと、さすがオートポリス常連・YSP久留米の若手だけのことはありますね! XJRのようなリッターネイキッドって、どんな特徴があると思います?
奈良田 うーん、と。えーっと。

難波 軽快かつ安定感があるXJRでも、スーパースポーツに比べれば重さがあって、運動エネルギーも大きいんです。だからコーナーへの進入をミスすると、怖い上にリカバリーが難しい。でも奈良田さん、ついブレーキングで頑張っちゃってるでしょう?
奈良田 そうですねぇ。確かに突っ込み重視の傾向はあるかも…。
難波 逆、逆(笑)。XJRだったら、なるべく早めにブレーキングを済ませて、早めに向きを変えて、立ち上がりでなるべく早くアクセルを全開にした方がいいですよ。重さのあるバイクほど、ブレーキングや旋回で頑張らず、早くバイクを起こしてありあまるトルクを生かす。その方が怖くないし、速いんです。
奈良田 早めにブレーキング、早めに向き変え、早めに全開、ですね? ところで、2台まとめてパスする時のライン取りなんですけど…。
難波 おっと、続きはサーキットで。ラーメン伸びちゃうでしょ!? (笑)

 
サーキットでのタイムアップという明確な目的があるので、質問は具体的。僕も思わず力が入ります。ラーメンや大観峰を気にしつつ、ライディングトークに熱中したのでした。

 
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XJRを磨き上げる

的を射たカスタム

 「XJRにかける情熱は日本一!」と胸を張るYSP久留米。今回は、思い思いのカスタムを施した6台に試乗させていただきましたが、特に取り上げたいのは深谷マネージャーのXJR1200。この1台に、皆さんのカスタムの源流が秘められているはずですから…。
 ところがご自分のXJRはオートポリスでハイサイドを喫して入院中。今回乗っていたのは、弟さんでもある深谷佳範工場長の愛車とのことでした。
 そのXJRに試乗して一言。「的を射たカスタムだなぁ!」。オリジナルステムの導入などで実現したハンドリングは、反応はいいのにクイックすぎず、しかもしっとり。真剣にXJRの走りを磨こうとする姿勢が見て取れました。
 他の皆さんのXJRも、それぞれの好みに応じた仕上がり。僕がお借りした1300に乗ってもらうと「すごく安心感がある」「とにかくスムーズ」と好感触ながらも、愛車にまだまだ魅力を感じている様子。XJRの魅力を引き出し、末長く楽しむ。そんなカスタムの方向性に、僕も共感できました。

個性を競い合うYSP久留米のXJRたち
ド迫力のペイントが目を引く深谷工場長の愛車。YSP久留米のオリジナルパーツが満載だ。
  「擦るような走りはしないし、便利だから」と、オトナの池田さんはセンタースタンド完備。

サーキット走行に力を入れている奈良田さんのXJRは、全面的に走りを磨き上げた仕様だ。
  オートポリス常連・藤吉さんはハードに締め上げた足まわり。公道ではちょっとツライかも。

足まわりのほか、ブレーキパッドも交換している寺松さん。公道では初期制動力が高すぎるかな。
  初めてYSP久留米のツーリングに参加した井手さんのXJRは、ブルーのオールペンが映える。


XJRを軸にした「末長いお付き合い」

 豪快な飲みっぷり、そしてサーキットに刻みつけた数々の伝説…。「西日本サーキット(現在のMINEサーキット)では、転倒したことがないコーナーはない!」と豪語するYSP久留米の深谷マネージャー、これぞ九州男児の見本のような男っぷりです。

難波 いやあ、旨い料理に旨い酒、そして「おいしいワインディング」の宝庫とくれば、遊び三昧でしょうね?
深谷 ええ、そうですね。でも、それなりに努力もしてますから。

難波 努力? 肝臓を鍛えるとか?
深谷 いえいえ、ウチの店には「奥様会」がありましてね。頃合いを見計らって奥様同士だけで集まって、オシャレに外食を楽しんでるんですよ。
難波 その間、ご主人たちは?
深谷 みんなで子守り! その日は完全に奥様だけの集まりなんです。
難波 夫婦で互いの立場や趣味の時間を尊重し合っているんですね。日本のバイク業界の未来も明るいなあ!
深谷 しかも次の「飲み」がさらにスムーズになる、と。
難波 ハハハ! でも、バイクに関しては本当に真剣ですね。特にXJRにかける情熱はスゴイ!
深谷 自分で買ったのが94年。それ以降ずっと乗ってます。一番長く付き合える車種だと思いますよ。ただ、お客さまもみんな長〜く乗ってくださるので、ショップとしては、ねぇ(笑)。
難波 でもその分、末永く「いい関係」になれるんじゃないですか?
深谷 ええ! おかげさまで、何十年ものお付き合いがあるお客さまも、たくさんいらっしゃるんですよ。


取材協力ショップ
YSP久留米

福岡県久留米市国分町1949 TEL:0942-21-2043
営業時間/9:00〜20:00 定休日/年中無休

http://fukatani.com/
「モットーは『気軽に入れるショップ』。冷やかし歓迎、ヤマハ車のことなら何でもご相談ください。ビッグバイクでオススメしたいのは、何と言ってもXJR。乗る方の方向性に合わせて、より楽しく乗れるカスタムをご提案しています」(深谷マネージャー)